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忘備録 思考録 未来日記

型はある。獲得する時期はさまざま(橋本努『学問の技法』)

 実は、大学に仕事を得た際に、ここまで自分が「教育」を重視するとは思わなかった。というのも、自分自身、社会福祉教育については素人。社会科学系学部で、農村計画のゼミだったが、体系立てて方法論を学習することを怠り、また大学院でも現場に這いつくばって、方法論がおろそかになった自覚がある。高等教育は、入職当時は、「自分で獲得するもの」と思っていた。

しかし、年月が経過すると、いろいろ考える。大学の学生生活、4年間。そのプロセスを、どうデザインするか、である。

もちろん、そんな教員側のデザインどおりに学生は成長するわけではない。しかし、単一デザインではなくとも、様々な回路があっても、カテゴリーであっても、何らかのモデルを示したい私たち。

そして自分を振り返る。もう少し効率よく。自分の紆余曲折は、効率よく過ごせなかったのか。モデルはなかったのか。

だから、学びのプロセスを注視し、各学年の教育内容や方法について気になる。

あまりクローズアップされないが、大学教員は、学生に対して教育したいと思ってこの職を得た人は、そう多くはないはず。むしろ最初は、「研究を続けたい」「モヤモヤしている自分の主張を明確にしたい」ということだろう(少なくとも私はそうでした)。

自分でも、ある程度の型をゼミで示してきたつもりですが、こんな本があったので、来年度のゼミ生になる2年生にさっそく勧めた。さて、読んでどのような主体的な学習者になってくれるだろうか。  

学問の技法 (ちくま新書)

学問の技法 (ちくま新書)