読んだ・見た・聞いた・考えた

忘備録 思考録 未来日記

北本市学童保育連絡協議会 指定管理者制度に関すること(2011.2.27作成)

 北本市学童保育連絡協議会は、設立から30年以上を過ぎ、現在では公設民営方式で8つの学童保育室を運営しています。

指定管理者制度に関しては、地方自治法改正時より、市側から制度導入とNPO法人格の取得を要請されてきました。実際、北本市内においては、子育て支援関連では、障害児学童保育室、療育センターなどに指定管理者制度が導入されるに至っています。

連協では市側に対して同制度が導入されると保育の継続性が損なわれるのではないかという不安などについて意思表示をしており、市側も強硬な導入には至らないできました。

しかし、平成22年4月から71人以上の学童保育室には補助金が下りないといういわゆる大規模問題との関連で、市側は、A案として、大規模学童を分割するが、連協が指定管理者制度導入とNPO法人化を受け入れる、B案として、厳格な入室基準を市側が設け、大規模学童の児童の足切りを行って分割は行わない、という2つの案を提示し、どちらにするのか、という提案を持ちかけてきました。

本来性格が異なるはずの、大規模分割問題と、指定管理や法人格取得の問題とが、取引材料として提示されたのでした。最終的には、市長も交えて、昨年度の連協役員が面談し、A案の分割・指定管理を受け入れたという市側の認識でありますが、指定管理者制度導入に関する具体的な説明は父母や指導員に全くありませんので、この問題、とくに大規模分割問題と取引に使われた感があることについては、不信と疑念は晴れることがありません。

この疑念や不信・不安に関しては、市側に文書で投げかけたものの、回答はなく、市側に認識としては近い将来には導入したいということを表明してきました。

連協では指定管理者制度特別委員会を設け、学習をしてきましたが、委員になった親たちは、勉強すればするほど、指定管理者制度導入反対の認識を深めました。同委員会の議論の成果を取りまとめ、議員懇談会を開催しました。この春の統一地方選挙では、市議会議員及び市長選挙も予定されており、候補者へ向けたアンケートも実施する予定です。

一方、先日、保健福祉部長・副部長・子ども課長・担当者を交えて、指定管理者制度について話し合いたいとのことで、連協会長が呼び出されました。連協三役、NPO特別委員会の会長、指導員会などと一緒に出向き、これまで述べたような疑念がある点、全国的には学童保育への指定管理者制度導入によって弊害が多数報告されている点、業務委託形式でそもそも問題はないのではないかという点、また今の父母会・指導員の運営においても組織基盤・運営基盤がぜい弱なため、単にNPO法人化しても指定管理に耐える運営体制は整えられていない点、などについて訴えました。

そして、これまで8学童の運営に関して、管理的経費は全く計上することなく丸投げしてきたことについて改めて訴え、NPO法人格の取得に耐えうるような組織基盤・運営体制が整えられるように、人的・金銭的支援をすることを約束させました。

また、万が一導入された時には、選考委員会に利用者代表を入れるように訴え、「検討する」との回答を得ました。

保健福祉部長には、運営基盤の確立と指定管理者制度とは分けて考える必要があることを申し述べましたが、しかし、市側としては、このような約束は、指定管理者制度導入を前提としたものであるという認識を変えようとはしないと思われます。

「保育に欠ける」児童を対象に、父母と指導員が手弁当によって運営が行われてきた学童保育の時代は終わり、学童保育による子どもの生活・遊びの支援の必要性は誰もが認識する時代となったと思います。そんな中で、多くの父母は、ただでさえ金銭的にも時間的にも負担を強いられる学童保育の利用と運営へのかかわりを、何とかしてほしいと考えているのが実際です。そんな中で指定管理者制度が導入され、ひとつの業者としてみなされて競争せざるを得ない環境に追いやられることは、指導員はもちろん、父母にも大きな負担をさらに強いることになります。

もちろん、NPO法人格取得など、社会的に責任ある運営体制を、父母と指導員が協働してつくっていき、子どもが生き生き育つ環境をつくっていくことは、今後の我々の課題ではあります。

しかしながら、指定管理者制度導入は、そのような自立した責任ある子育て支援団体としての学童保育運営団体に成長することを阻害し、行政と市民とを分断し、協働して子育て支援事業をつくりあげていく契機を、永遠に失わせてしまうということを、今後も訴えていきたいと思います。

 

以上