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忘備録 思考録 未来日記

学童保育事業に関する研究(仮称) メモ(2009.7.7作成)

【注目したい点】

○設置・運営形態は、公設・公営、公設・民営、民設・民営などの諸形態がある。民営といっても、保護者会が設立・運営するという形態がたくさんある。そのような意味では、市民が積極的に「公共サービス」を担ってきた分野。

○障害者福祉も同様の流れがあるが、いまや共働き世帯は過半数を占める中では、学童保育事業に関しては、より普遍的な問題としてとらえることができる。普遍的な「政治・政策への関与」。

○民営の運営主体、多くは保護者会の構成メンバーがが、行政や首長と交渉したり、署名活動・請願を行ったり、議員への働きかけを行ったりしている。政治・行政過程における市民の力量の度合いを観察することができ、また逆にニーズはもちろん力量をもつ市民に対する政治・行政過程の力量の度合いを考察することができる。

○指定管理者問題の動向は分けて分析すべきであるが、行政はいかなる主体と協働しうるのか、協働するための行政側、市民側双方の条件や獲得すべき力は何なのかを、考える材料にもなると思う。

2010年の「71人以上の学童保育には補助金を出さない」という問題は、その性格は置いておいて、観察を「時間」で区切って、自治体間比較を可能にしており、チャンス。

○指導員の人も加わるのならば・・・5年以内に7割がやめてしまう職場。大問題は賃金。基本は、フルタイムで働き、家族を養えるような補助金の体制ではないのではないか。その矛盾を正面から見据える必要がある。実は3545ぐらいのロスジェネの前の世代が、ロスジェネ世代とそれ以下の世代を、搾取しているのではないかという危惧。であるとするならば、「指導員が固定しない」というのはナンセンス。もし固定して働いてほしいのならば、そのような就労環境、とくに「賃金」を何とかしなければならない。学童保育事業だけでは難しいのならば、何らかの収益事業を行っていく、それに対する責任も運営する親が負っていくぐらいのことがないとだめ。とにかく、労働環境と、就労者側の意向を、しっかりと把握する必要がある。

 

【基本的な問い】

 なぜ、同じ規制(71人以上問題)が中央政府によってかけられたにも関わらず、自治体によって政策の選択が異なったのか?

 ⇒選択の違いによる帰結は、どのようなものであるか?

 

 →想定される政策的含意:

①「政策情報」をいち早く市民に公開し、硬直化している官僚制の中では生成し得ないようなアイデア・シーズを、限られた時間で政策化することを可能にするための支援システムの構築が必要?

②「公共」を担う市民活動の要件のキメをどうするのか。要件を厳しくする(npo法人各が必要だ、指定管理者だ、任意団体では不安だなど)などのプレッシャーは、公金を使うという面からの説明責任の確保にもなりうる。指定管理者制度になったとしても、指定随意契約のような形であれば(既得権の保有者は)良い。しかし法人格を取らせたり、指定管理によって行政活動へのオープン性を確保したとしても、そのサービス運営の適切性のチェックは、いまの枠組みではコスト・ベネフィットでしか図りえず、当該サービスの「質」を図るすべを開発せねばならない。これがなかなか難しい。なにか結論から言えることはないか?

 

【方法】

○同一人口規模ぐらいの自治体間比較。

○財政力や子育て環境資源等の比較検討。学童保育事業の経緯の比較検討。

○この間の各自治体の動向を詳細に年表化。

○この間の議会議事録のチェック。行政担当部署へのインタビュー。保護者会へのインタビュー。議員へのインタビュー。

【分析モデル】?

<キングダン「政策の窓モデル」>

「問題の流れ」「政治の流れ」「政策の流れ」がそろった時に、政策が実現する。